2016年2月14日日曜日

【NHK高校講座から始める】簿記の世界史【第1回;古代オリエント・ギリシャ編】

プロローグ

 もっぱら、ビジネスでしか使われない(ビジネスでも使われない?w)簿記ですが、簿記の歴史(会計史)も勉強してみませんか。高校生の皆様(簿記未経験の方)は、簿記や監査を歴史から学んでみませんか。きっと、新しい発見がありますよ。
 第1回は、会計の歴史「古代オリエント・ギリシャ編」です。最近、ホットな古代ギリシャですが、簿記や監査から見ても楽しいですよ。

アリストテレス

 ー教材


 教材は、①NHK高校講座(2015年度)世界史の第2回「オリエントとギリシア」と、②ジェイコブソール「簿記の世界史」第1章を使用します。本ブログを読む前に、NHK簿記講座の方をご覧下さい(下記リンク参照)


 ーブログの内容

 
1章 古代文字と簿記
2章 フェニキア人の商業貿易
3章 古代アテナイの簿記と監査

1章 古代文字と簿記

 NHK高校講座では、メソポタミアでは楔形文字、エジプトでヒエログリフが、フェニキア人にアルファベットが開発され、それがギリシャにも受容されたことを学びました。ただし実際には一般の人間が利用していた訳ではなく、主に神官や商業貿易・会計記録に用いられていたそうです。

メソポタミアの楔形文字
エジプトのヒエログリフ

フェニキア文字
フェニキア文字以降











 例えば、世界で2番目に古い法典であるハムラビ法典(紀元前1792年から1750年)は楔型文字で記載されていますが、実は基本的な会計原則や取引の監査の規則も定めているそうです(ルーブル美術館に実物があります)。例えば、105条には、以下の記述があります。

”現金を受けた時にその場で確認して領収書に署名をしなかった場合に、帳簿にその記録を記載してはならない。”

 リアルですねw その他、初期の単式簿記は、①古代メソポタミア、②イスラエル、③エジプト、④中国、⑤ギリシャ、ローマで行われていることが確認されています(ジェイコブ・ソール(2015), pp. 22-23)。文字ができて、初めて簿記が可能となったわけです

「ソクラテスの逆説」は、省略。

2章 フェニキア人の商業貿易


 フェニキア人は、エジプトバビロニアなどの古代国家の狭間にあたる地域に居住していたことから、次第にその影響を受けて文明化し、紀元前15世紀頃から都市国家を形成し始めた。紀元前12世紀頃から盛んな海上交易を行って北アフリカからイベリア半島まで進出、地中海全域を舞台に活躍しましたwikipedia)。
 エジプトのヒエログリフをフェニキア人は改良し、大幅に省略して発展させました(上記TL参照)。フェニキア文字について、金岡新さんのサイトには以下の記述があります。
”かれらの文字、フェニキア文字は、ギリシアからヨーロッパに伝えられアルファベットとなります。商人たちが帳簿を付けるためにつくられた文字だったので書きやすく読みやすい。一般の民衆に開かれた文字ですね。エジプトの神聖文字などは、神官、書記など支配者だけに独占された文字です。だから、伝えるものが途絶えると読めなくなってしまったです。そこがフェニキア文字との違いです。”
 このように、商業貿易を盛んに行なっていたフェニキア人にとって、簿記は欠かせないものだったようです(詳細は、スタンプメイツでも)。

フェニキア人の商業ルート

3章 古代アテナイの簿記

 古代アテナイでは、民主制を掲げていたので会計責任を果たす仕組みが整っていました。寡頭制では一握りの権力者が支配し誰も責任を負わなかったのです。すなわち、面倒な簿記と公的監査が民主的統治を支える柱とみなされてきたのです。この会計責任を負っていた役職は以下の通りです(ジェイコブ・ソール(2015), pp. 23-24)。

  • 国庫の監督官;アテネの国庫は神聖なものとして扱われ、デロス島に保管されて監督官が厳重に監視した。
  • 公的機関の会計を監督する高級官僚、監査官;官僚が作成した会計報告は、民主政治の原則に則り、漏れなく監査の対象となっていた。
  • 帳簿係・監査官;基本的に奴隷が担当。怪しまれたら拷問されていた。

 以下では、ジェイコブ・ソール(2015)でも紹介されていた3人の古代ギリシャ人の「簿記・監査」に関する記述を紹介します(twitterもw)。

 ーアリストテレス


 アリストテレスは、 言わずと知れた「万学の祖」なのですが、政界たんがTLで明言を紹介していました。

 彼の「アテナイ人の国制」に監査官に関する記述があります。これによれば、監査官が官僚や裁判官の会計報告を監査しており、不正疑惑が持ち上がった場合、事情聴取を行う前にまずは問題の人物の帳簿を公的に監査する仕組みでした。

 ーアリステイデス 


 マラトンの戦いでのギリシャ側の将軍。彼についてこんなツイートが、、、 
 彼は、監査について
あまり厳しい監査するのもどうなん??”
とこぼしており、不正はある程度までやむを得ないとされ、むしろ厳格な監査はいたずらに平穏を乱すと見なされた。現代でもあるあるな主張ですねw

 ーポリュビオス


 ポリュビオスは、ギリシャの 歴史家です。

 彼も、アリステイデスの主張と似たことを主張しています。
”国家が監査官を10人雇って公的監査を徹底したところで人間が正直になるわけではない。頭のいい人間は必ず帳簿を操作する。”

 これも現代でもあるあるですねw 結局、厳しい監査がいいのか、悪いのか。。。

エピローグ


 まとめると、、、

  • 簿記は、文字と大きく関係しいていた。
  • 商業貿易が盛んであったフェニキアでは、盛んに帳簿記録が行われていた。
  • アテナイでは、簿記と監査は民主制を支える仕組みであった(ちょっといい加減)。

 最後までお読みいただきありがとうございました。是非、コメントorツイートお願いします。

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